透析患者におけるQOLと気分状態に関する検討 : POMSとQUIKを使用して

概要

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透析クリニックに通院中の患者について, QOLと気分状態を調査した.POMSとQUIK, そして研究のために作成した新しい質問紙を使用した.対象は123名, 年齢は23〜82歳に分布し, 平均年齢は56.3歳, 男性は62名, 女性は61名であった.透析期間は3カ月〜21年に分布し, 平均は6年10カ月であった.透析患者のQUIKの平均得点は, 「やや不良」の水準に属しており, 50代の患者の対人関係が, 30代と60代の患者よりも悪かった.POMSについては, 30代〜60代までの男性透析患者のVの平均得点が, 健康男性より不良であった.50代の男性透析患者では, V, F, Cの得点が健康男性より悪く, 60代の男性透析患者は, D, A-H, V, Cの得点が不良であった.60代の女性では, D, A-H, V, F, Cの得点が同年代の健康女性よりも劣っていた.QUIKの得点と活動性を除いたPOMSの得点は正の相関を示していた.透析患者のQOLと活動性は健康人に比較すると劣っていた.特に50代以上の透析患者の気分状態は, 同年代の健康成人よりも不良であった.透析の心理的影響は, 若年者の透析よりも高齢者において不良である.また, 透析患者と医療スタッフの良い関係は, 透析患者のQOLの向上に貢献していた.
日本心身医学会の論文
1998-06-01