タイプA行動パターンと職場ストレスおよび生活習慣の関連について(第2報)
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概要
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この研究の目的は, タイプA行動パターン, 職場ストレス(Karasekのdemandcontro1-supportモデルにより定義), および生活習慣の歪みの間の関連を, 以下のような仮説に基づいて検討することであった。1)タイプA行動パターンと職場ストレスは, 運動不足, 飲酒, 喫煙, 食行動の異常といった健康に対して悪い影響を及ぼす行動的リスクファクターを助長する。2)タイプA者が高ストレイン状況下におかれるとより多くの生活習慣の歪みを呈する。2職場の649名の職員(男性442名, 女性207名)に質問紙(「JobContentQuestionnaire(JCQ)」, 「前田式A型傾向判別表」, その他生活習慣の歪みについて尋ねるもの)による調査を行った。そして, タイプA行動パターン, 職場ストレス, および生活習慣の歪みの間の相互連関を各性別ごとに分散分析により検討した。この研究はパス解析を用いて行った以前の研究を再解析したものである。再解析を行った理由は, パス解析ではタイプAと職場ストレスの相乗効果が検討できず, 上記の2番目の仮説の検証が十分にできなかったためである。さらに, 以前の研究では26項目から成るJCQを用いたが, JCQの信頼性と妥当性を検討した最近の研究の中で22項目4下位尺度版の利用が推奨されていたため, 今回は22項目に基づいて新たに算出し直した結果に基づいて解析した。その結果, 以下にあげるような関連がタイプAまたは職場ストレスと生活習慣の歪みとの間に見出され, 2,3の結果を除き, 第一の仮説はおおむね是認されたものと考えられた。1)男性のタイプA者には喫煙者が多く, 女性のタイプA者はアルコールをよく飲む。2)仕事の要求度の高い男性はアルコールをよく飲む。3)裁量の自由度の高い男性には喫煙者が多い。4)同僚のサポートが十分にある男性は間食が少ないが, アルコールをよく飲む。5)仕事の要求度と裁量の自由度がともに高い女性は間食が多い。6)裁量の自由度と同僚のサポートがともに低い男性は最も運動不足である。また, 第二の仮説は以下のような点で検証された。1)裁量の自由度の低い男性のタイプA者は最も運動が不足していた。2)仕事の要求度の高い女性のタイプA者と仕事の要求度の低いタイプB者の双方で喫煙者が多い傾向にあった。以上から, 今回の研究では, 全体的に仮説を支持する結果が得られたということができよう。今後は, より多くの職場を対象にして, 職種をより詳細に分類した研究, そして, タイプA行動パターンと職場ストレスの身体的および心理的リスクファクターに対する影響も検討できるような研究をさらに進めることが望ましい。
- 日本心身医学会の論文
- 1997-08-01
著者
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