世界各地産コクゾウ類の発育と増殖に及ぼす米の含水量と温度の影響
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概要
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1) 世界各地産のコクゾウCalandra oryzae L.とココクゾウC. sasakii TAKAHASHIの各4系統をつかって発育速度と増殖率(1日当り平均次代羽化数)に及ぼす米の含水量と温度の影響を調べた。使用した系統はコクゾウでは,日本(JL),オーストラリア(AL),インドネシア(ID),米国ミズリー(UM)産,ココクゾウでは日本(JS),オーストラリア(AS),ネパール(NE),カナダ(CA)産のものであった。2) 米の含水量12.2, 14.7, 15.5, 16.7%の下では一般に発育速度は含水量とともに増す。その影響を受ける割合は系統によって異なるが,JL, AL, CA, NEはID, UM, JS, ASに比して大きい。3) 米の含水量が高くなると共に増殖率も増す。各系統間の差異は,発育速度におけるよりははっきりしないが,ほぼ同様の傾向を示す。4) 20, 25, 30°Cの各温度条件下における発育日数は,おおむねコクゾウよりもココクゾウの方が長い。積算温度法則より求めた発育零点はコクゾウの方が低い。有効積算温度は一般にコクゾウの方が小さい。5) 一般に25∼30°C間における羽化数増加率は20∼25°C間におけるそれに比して,コクゾウでは減少するがココクゾウではむしろ増加する。6) 各温度条件下における雌雄の発育日数は,コクゾウでは雌は雄より短い。ココクゾウにおいても30°Cでは同じく雌が短いが,20, 25°Cでは逆に雄のほうが短い。7) 以上の結果から,コクゾウ類の発育速度と増殖率に及ぼす米の含水量の影響の差は,各系統間のクロス型と貯穀型という生活の様式のちがいを示し,温度による差はコクゾウ,ココクゾウ両種間のちがいを明らかにするものと考えられる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1958-11-15
著者
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