トビイロウンカの有機リン剤およびカーバメート剤に対する感受性低下
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概要
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トビイロウンカの薬剤感受性の年次変動および薬剤感受性の地域差を1970年より調査するとともに,薬剤感受性の異なる個体群を薬剤で淘汰し,薬剤に対する感受性低下の可能性を検討して,次の結果を得た。1) 広島県で採集した個体群のダイアジノン,MEP,マラソンなどの有機リン剤に対する感受性は1973年ごろより低下し,NAC, BPMC, PHCなどのカーバメート剤に対する感受性は1979年ごろより低下し始めたものと推察された。2) 1979年に広島県内で採集した7個体群に対する各種殺虫剤のLD50値を,1973年採集の無淘汰系統(F67)のLD50値と比較すると,MEPとマラソンは約10倍,ダイアジノンは約5倍,NAC, BPMCおよびPHCは約5∼7倍高くなっていた。3) その7個体群に対する11薬剤のLD50値の個体群間の差異はほとんど認められなかった。1981年採集の5個体群の間でも同様の結果であった。4) 1970年採集の竹原個体群をNACで累代淘汰しても,NACに対する感受性は低下しなかった。しかし,ダイアジノンで累代淘汰するとダイアジノンに対する感受性は低下し,その後の有機リン剤に対する著しい感受性低下が予測された。5) 有機リン剤に対する感受性低下が認められた1975年採集の竹原個体群をBPMCで累代淘汰すると,BPMCとMEPに対する感受性はさらに低下した。また,同じ個体群をMEPで累代淘汰すると,BPMCとMEPに対する感受性の低下が認められた。このことから,本種の有機リン剤とカーバメート剤に対する感受性低下はたがいに交差関係にあるものと考えられた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1983-02-25
著者
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