魚類の味覚受容(<総説特集>水棲動物の化学受容)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
かつて魚類の味覚の電気生理学的研究は、主に4基本味(塩化ナトリウム、塩酸キニーネ、ショ糖、無機および有機酸)を刺激物質に用いて行なわれてきた。1960年代後半から魚類味覚系が有機化合物に高い感受性を示し、殊にアミノ酸が魚類の顔面味覚系に効果的な刺激物質であることが示されるようになった。その後、アミノ酸による感受性や味応答スペクトラムに魚種の特異性はあるが、チャネルキャットフィッシュなど研究されたどの魚類味覚系でもアミノ酸に高い感受性を示し、ナマズ科やコイ科の魚類ではその感受性はヒトの100万倍にも及ぶもののあることが報告された。また、魚類の味覚は甘味には応答しないが、ペプチドや核酸、カルボン酸に応答し摂餌を誘引すること、アミノ酸やカルボン酸、それらの関連物質や誘導体を用いた研究から、これらの刺激物質と味覚受容体との間には立体特異的な相関(構造一活性相関)があることが分ってきた。さらに、特定の数種のアミノ酸を混合して味刺激として与えると、単独で与えた場合よりも味応答が増大する相乗作用が起こることも明らかとなったが、そのメカニズムは不明である。また、今後に課せられた解明されるべき点を最後に挙げた。
著者
関連論文
- P-127 味覚障害患者における唾液中亜鉛結合タンパク質CA VI(Gustin)のELISA systemによる検出(ポスターセッション,2007年度日本味と匂学会第41回大会)
- P1-57 唾液中亜鉛結合タンパク質 (Gustin) のELISA system による検出(2005年度日本味と匂学会第39回大会)
- ゼブラフィッシュの味応答(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- 軟体動物(頭足類)の化学受容器の形態(1999年度日本味と匂学会第33回大会)
- P-087 苦味関連タンパク質を応用した味覚障害スクリーニング法の開発(ポスターセッション,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- P-015 キニーネに対する苦味関連タンパク質の作用について(ポスターセッション,2007年度日本味と匂学会第41回大会)
- P-070. 精神的ストレス負荷による唾液中タンパク質の変化 : Histatin3, 5, 6とPRP-PEについて(ポスターセッション, 2006年度日本味と匂学会第40回大会)
- P-040 PLCβ2プロモーター誘導によるテタヌストキシン発現メダカの味覚応答性(ポスターセッション,2008年度日本味と匂学会第42回大会)
- 4)GPCR味覚受容体の特徴(第44回奥羽大学歯学会例会講演抄録)
- 情動ストレス負荷時における圧受容体反射の感受性
- コウイカSepia esculentaの捕食行動に及ぼすアミノ酸の影響(1998年度日本味と匂学会第32回大会)
- コイ味蕾細胞にみられるG蛋白質
- P1-61 魚類におけるMSG受容体の存在
- P1-09 苦味に関連する唾液中タンパク質の検出
- 味覚障害と唾液中亜鉛結合タンパク質との関連 : 抗体による亜鉛結合タンパク質の検出
- 3)グルタミン酸味覚受容体の性質(第44回奥羽大学歯学会例会講演抄録)
- 口腔・顔面感覚情報による頸背筋活動の反射性制御
- コイ味覚受容組織膜標品に対するアミノ酸結合の特異性
- 師弟の間に魚(第30回味と匂のシンポジウム)
- P-016 ゼブラフィッシュの味神経応答(ポスターセッション,2007年度日本味と匂学会第41回大会)
- ネコの眼窩下神経における顔面受容領域区分の特徴
- S-2-8 Chemoreception in aquatic organisms : 水棲動物の化学受容(ISOT/JASTS 2004)
- 魚類の味覚受容(水棲動物の化学受容)
- P-006. メダカにおける味蕾の形態と分布(ポスターセッション, 2006年度日本味と匂学会第40回大会)
- 海外での予期せぬ出来事
- 海外での予期せぬ出来事
- P1-20 トリハロメタンによる魚類味応答の抑制(2005年度日本味と匂学会第39回大会)
- 魚類MSG味受容体にiGluRは存在するか? (2003年度日本味と匂学会第37回大会(9月24-26日、岡山))
- 教育と研究
- 1998年度日本味と匂学会第32回大会を終えて
- カルボン酸に対するコイ味神経応答の解析
- AChemS見聞録
- 第74回 日本生理学会
- 魚類味覚中枢
- 味覚受容体の研究の昨今