肘関節屈曲運動に随伴するクレンチング

概要

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顎口腔系機能と身体運動機能との関連を明らかにするための基礎的資料を得ることを目的として, 身体運動に随伴するクレンチングについて分析・検討を行った.正常男性12名(平均年齢:27.0±1.8歳)を被験者とし, 随意最大肘関節屈曲運動時の下顎位と顎口腔系諸筋群および上腕二頭筋の筋活動を同時に記録し, (1)身体運動に随伴するクレンチング発現時の筋活動と下顎位, (2)顎口腔系諸筋の筋活動開始時期, (3)クレンチングの有無が身体運動能力に及ぼす影響について検討した.得られた結果は以下の通りである.1)肘関節屈曲運動時の閉口筋活動および下顎位の分析から, 身体運動に随伴するクレンチングの発現には個人差があり, Clenching group(12名中8名), Non-clenching group(12名中4名)に分類できることが明らかになった.また, Clenching groupでは, 咬頭嵌合位でクレンチングが発現することが明らかになった.2)身体運動時における各筋の筋活動開始時期の分析結果から, 身体運動に随伴するクレンチングの発現は, 身体運動によって生じた反射活動ではなく, フィードフォワード機構によるものである可能性が示唆された.一方, 身体運動時の胸鎖乳突筋活動は, 主動筋である上腕二頭筋の活動と閉口筋の活動の両者によって引き起こされるフィードバック機構によるものと推測された.3)Clenching groupに意識的な開口を指示して, 肘関節屈曲運動を行なわせた場合に, その発揮筋力の有意な低下(p<0.05)が認められたが, Non-clenching groupでは意識的なクレンチングによる有意な変化は認められなかった.本研究の結果, Clenching groupにおいては, 身体運動機能と顎口腔系機能との間には密接な関連があり, クレンチングが身体運動において重要な役割を果たしていることが示唆された.
1996-06-30

肘関節屈曲運動に随伴するクレンチング

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