分類が困難であった初老期痴呆の一例
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概要
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症例は55歳,男性。初発症状や画像所見および臨床症状がPick病に一致していたが痴呆の進行があまりにも急速でありC-J病が疑われた。しかしミオクローヌスや周期性同期性放電は見られず,さらに滞続言語を認め,C-J病は否定的であった。その他球麻痺症状を認め,また呼吸筋麻痺の存在があると考えられ運動ニューロン疾患(MND)を伴う痴呆も疑われたが,筋萎縮が認められず,MND伴う痴呆も否定的であった。最近,前頭側頭型痴呆(FTD)という概念が提唱されており,本症例もFTDに属する可能性が高いと考えられたが,FTDの臨床的特徴にある「緩徐な進行」という点では一致しなかった。本症例は従来の痴呆疾患の分類では一致するものはなかった。FTDを含む非Alzheimer型痴呆は臨床像からの分類が困難な症例も存在し,その病態はほとんど解明されていないのが現状であり,このような症例の詳細な臨床的観察と病理学的検索の集積により将来新しい疾患の発見,分類が期待される。
- 藍野大学の論文
- 2002-03-15
著者
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