「適応」と「健康」の概念に関する一考察 : 事例研究をとおして
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概要
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学生相談室を訪れた2人の学生の事例を通して,「適応」と「健康」の概念について比較検討を行なった.その結果,次のように考察された.すなわち,両学生共,囲りに迷惑をかけず環境に自分を合わせていくという狭義の適応はしていた.しかし,自他の楽しみを創造するために積極的に環境に働きかけていくことを含めた広義の適応はしていなかった.従って両学生は積極的な意味で精神的に健康とは言えなかった.しかし「健康」を,「その人がその人らしく良い方向へ向かうプロセス」と考えるなら,「その人の中にある良い流れを途絶えさせず促進させるよう,その人が外部環境に働きかけ関係を創造するプロセス」を「適応」と考えられる.こう考えれば,例えその人に不健康な面があろうと,その人なりに向上していくプロセスを大切にし援助していけば良いことになる.この新しい定義によって,両概念はより実践的で役に立つ援助目標になると考えられる.
- 順天堂大学の論文
- 1990-03-25
著者
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