疫学部門
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概要
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当研究室では, 1)鈴木らによる疫学調査研究によるインフルエンザウイルスの研究, 2)南らによる神経内分泌学的研究がすすめられている。1)インフルエンザは, わが国では晩秋から冬期11月から3月, 時として4月にわたり流行するが, 四季を通じての流行は認められず, 夏期にウイルスがどのように保存されているか明らかにされていない。我々は, 熱帯あるいは亜熱帯地域(タイ国チェンマイ地区)において, 一年を通してウイルスが分離され, 特に雨期である7月, 8月が多く分離されることから, 熱帯あるいは亜熱帯地域がウイルスの保存及び変異の地域で, それが日本へ伝わってくるのではないかと考えている。タイ国チェンマイ地区において, 有熱患児より咽頭拭い液を採取し, インフルエンザウイルスの分離を試み, 抗原解析を行ってきた。2)生体の機能制御機構のうち枢軸的役割を担うものの一つである生理活性物質について, 生理学的観点から研究を行っている。主たる研究課題は, 下垂体ホルモンの分泌調節機構についての研究である。成長ホルモンは下垂体から拍動性に分泌され, それは視床下部ホルモンによる調節をうけ, さらに上位中枢からの影響下にある。したがって, その分泌は諸種の環境因子によってさまざまな変化をうけ, 脳内アミン, 神経伝達物質, 神経ペプチド, 性ステロイド, 代謝性因子, 加齢, 栄養状態, ストレスなどが, 特定の条件下で影響しあって最終的に分泌のパターンを決定する。また, ホルモン分泌には生物時計に裏打ちされた日内リズムに加えて超日リズムがあり, 生体の恒常性の維持に重要であると考えられる。この超日リズムの発現機構と意義については不明な点が多く, そのメカニズムの中枢については解明されていない。我々は, この超日リズムの発現機構を解明することを目的として成長ホルモンについて研究を行い, 成長ホルモンの分泌リズムの形成には成長ホルモンの分泌を抑制する視床下部ホルモンであるソマトスタチンの間歇的な分泌が中心的な役割を担っていることを明らかにしてきた。さらに, ソマトスタチンの分泌あるいはソマトスタチン細胞の活動に周期性を与えるメカニズムとして, アンドロゲンによる視床下部機能修飾作用が重要であり, 現在, このアンドロゲン感受性機構の解明に取り組んでいる。一方で, 成長ホルモンが視床下部に作用して自己の分泌を抑制する自己分泌調節機構(autofeedback)がある。私たちは成長ホルモンの作用部位を検討し, 視床下部のニューロペプチドY細胞とソマトスタチン細胞が標的細胞であるとの説を提唱した。引き続きこの課題について検討をすすめている。リズム形成とフィードバック系が下垂体ホルモン分泌の中軸であり, この機構を解明し, かつこの機構に影響する因子を明らかにしてゆきたいと考える。
- 1998-03-25
著者
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