新しい倫理学のために(1)
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概要
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A・ブルームの言葉は、教養教育の目的を述べたものだが、筆者にはまさに教養の倫理学の目的をも言い表した言葉だと思われる。「すべての青年は『私は誰なのか』と尋ね、われわれ各人のなかには、デルポイの神託の『汝自身を知れ』という命令に従おうとするやむにやまれぬ欲求が生まれる。この問いや欲求は、まずもって『人間とは何か』を意味する。一般教養教育をうけた者とは、安直で好まれやすい解答に抵抗できる者のことである」「一般教養教育とは、正確にいって、学生を助けてこの問いを自分で立てられるようにすることを意味する。答えは明らかではないが、かといって見出せないわけでもないこと、真剣な人生では必ずこの問いが絶えず関心の的になること、学生にこれらのことを気づかせるのは、一般教養教育である」以下の倫理学ノートは、ブルームの報告とも共通なもののある、筆者の接する学生たちの状況のなかで、そうした学生たちと共にこの問いを問うために、創案されたものである。
- 1991-01-31
著者
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