志賀重昂『日本風景論』の政治的意図と菊池安論文との関係 : 東日本および小笠原諸島の火山記載をめぐって
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概要
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志賀重昂の著書『日本風景論』のなかの東日本および小笠原諸島の火山についての記述と,地質学者菊池安の論文との関わりを解明した。志賀が『日本風景論』において日本に火山が多いことを説き,その火山を国粋主義の拠りどころとした点は,菊池(1889a)の論文「鹽原地相一班」の中の火山論のアイディアを盗用したものである。一方,磐梯山噴火は火山のマイナス面であるため志賀は菊池らの調査を軽視し,また,政治的に志賀と対立的立場にあった『東洋学芸雑誌』上の小笠原諸島の火山に関する菊池論文を無視するなど,菊池の業績は志賀の政治的意図に深く根差した恣意的な操作によって不当な扱いを受けた。
- 2000-03-31
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