会社員のサラリー
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概要
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労働者の賃金は、労働力商品の価値の現象形態にほかならないから、賃金の高さは当該労働力商品の価値の大きさに照応し、したがって当該労働力商品の再生産費によって規定される。労賃はこのように労働力というひとつの商品の再生産費に照応するものであるから、この再生産費は市民としての人間の生計費ではなく、労働力を商品として提供しなければならないという特殊な人々の、たんに労働力の再生産費としての生計費でなければならない。いいかえれば、一定の技能をもった生けるロボットもしくは意識ある機械としての人間の生計費でなければならない。これにたいして、会社員の俸給は、会社員が一個の自立した資本機能者であり、所有者としての資本機能者とおなじように社会の一機能を担う自由な一市民であって、生けるロボットとしての労働者などではないことから、自由な市民としての平均的生活様式を満たすに足る生計費と資本を機能させるために必要なかなり高度な教育費をまかなうことができる給与が支給されねばならない。この会社員の生計費が労働者の生計費と異なる点はふたつあり、ひとつは市民的自由を保証するだけの私的所有を許容するものでなければならないということであり、もうひとつは、必要生活手段の価値にくわえて、消費それ自体が目的とされるような独立的消費を許容するものでなければならないということである。
- 摂南大学の論文
著者
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