日本的経営の基盤としてのアジア社会の特異性
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概要
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日本的経営とは団体主義的経営ということにほかならない。すると、欧米的経営とは個人主義的経営ということになるが、このふたつの経営様式のちがいを生んでいるのは、いうまでもなく、両者がよって立つ社会の性格のちがいということをおいてほかにない。欧米の社会は個人主義をその原理とする社会であるゆえに個人主義的経営を成立させているのであるが、個人主義をその原理とする社会であれば、欧米の人々は、当然社会を、独立した多数の個人が集まって社会という共同体かつくられているというふうに表象する、ということになる。これにたいして、日本の社会は、団体主義すなわち非個人主義的社会であるゆえに団体主義的経営を発生させているのであるが、この非個人主義性は、日本社会をそのひとつの種として含むアジア社会一般の特質とみなすことができる。アジアにおいては、独立した諸個人の結集という媒介をとおして社会という共同体かつくられているのではなくて、個々人は直接無媒介的に社会という共同性に結合しているのである。だからこそ、人々はわが国でのように群れたがるのである。人々が直接無媒介的に社会という共同性に結合していて、かくしていわば無自覚に共同性にしたがうものであるとすれば、この共同体を治めるものは全成員にとって彼岸者たる役人であって、個々人自らが社会という共同性を分けもつという意識など毛頭ない、ということになる。アジア社会においては、欧米の社会とは異なり、政治的民主主義の未成熟、公共心の欠除、見知らぬ同胞への冷淡さなどといった諸特質を一般的に抽出できるということになる。欧米人が個立的人間ではあるがすぐれて社会的人間であるのにたいして、アジア人は共同的人間ではあるが非社会的人間なのである。
著者
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