マサ土の浸水時及び非浸水時の力学特性と農地造成に伴って形成された斜面の安定問題

概要

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「フサ土は水に弱い」と言われているが,その定量的裏付けは十分ではない。特に実際の斜面の安定問題との関連でこの点について論じた報告は極めて少い。そこで,マサ土地帯における農地造成に伴って形成された斜面の,豪雨時の崩壊例3例(その内2例は,盛立てた斜面,1例は切り取り斜面)について,現地から採取したマサ土の浸水時及び非浸水時の,圧密・排水せん断強度C_d,φ_dを三軸圧縮試験,一面せん断試験等によって求め,その変化を調べた。その結果,乱したマサ土を現地の農地造成時の密度程度に締め固めたものでは,浸水によって,見掛けの粘着力C_dは減少するが,せん断抵抗角φ_dは変化しない事が分った。また,乱さないマサ土では,C_dもφ_dも浸水によって変化はしない事が分った。またこれらのせん断強度を用いて斜面の安定解析を有効応力法によって行ったところ,地下水位の上昇による間隙水圧の上昇によって,斜面崩壊は十分に説明できる事が分った。また斜面の安定解析の結果求められた最小安全率を与える円弧は,ビショップ法(Bishop method)による場合が実際に生じた円弧すべりに最も近い結果を与える事が分った。
1984-12-15