ビールオオムギの脱穀過程における発芽障害に関する研究第2報 : 高速度写真による脱穀状況の観察

概要

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脱穀機内部での脱粒時のこぎ歯と麦粒の衝突状態および麦粒の覆蓋に対する衝突状態を把握して,衝突時の速度,姿勢,衝突部位等と傷害との関係を調べるために高速度カメラにより脱穀機内部の撮影を行った。(1)飛行軌跡と飛行速度高速度フイルムによる観察結果と,前報のカーボン紙による衝突分布測定の結果とはよく一致しており,こぎ室内を飛行する麦粒はこぎ歯に打たれて直線的に飛行し覆蓋に衝突する場合と,覆蓋の曲面にそって飛行している場合とに大別される。こぎ胴周速度の増加にともない平均飛行速度は大となる。覆蓋の曲率の大なる形状の部分に衝突するときの衝突速度の覆蓋への垂直成分は,他の部分にくらべて大なることが明らかとなった。(2)飛行姿勢と衝突姿勢大部分の麦粒は回転しながら飛行しており,長軸あるいは短軸を回転軸とした場合と,それらが組合わされた場合とに大別される。量的には後者のように重心を中心として種々複雑な姿勢で回転している場合が多く観察された。また衝突姿勢を,(a)正方向衝突,(b)斜方向衝突,(c)回転衝突,と名づけた。その結果(a),(b)それぞれに(c)が組合わされた姿勢で衝突しているものが多く観察された。麦粒が回転している場合,長軸と短軸の長さの割合から長軸の先端が打たれて短軸を回転軸とする場合が多く,背腹よりも基部あるいは頂部の部分がより多く衝突すると考えられ,この傾向は,こぎ胴周速度が大となり,麦粒の飛行速度が大になったとき顕著にみられた。(3)こぎ歯による脱粒機構:特に穂および茎の振動について穂および茎ともそれぞれ短周期の振動をしながら,全体としては長周期の振動を繰返していることがわかった。また互に速成振動を行っていることも示している。また振動初期においては穂の振動数,振幅はともに小であり,穂と茎はほとんど同相である。つぎに時間が経過するにつれて位相差は大となり,穂と茎は弓状に曲がりながらこぎ歯に接触しつゝ振動し,ちょうどしごかれるような状態で脱粒が始まる。このことがいわゆる"扱(こ)く"という作用であると思われる。
岐阜大学の論文
1983-12-15

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