ビールオオムギの脱穀過程における発芽障害に関する研究 第1報 : 脱穀条件と発芽率および麦粒の衝突
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年,麦作は水田利用再編対策などによって着実にその作付が増加し,将来性のある作物として注目され始めた。しかるに国産ビール麦は外国産ビール麦に比較して発芽率が著しく劣っている。その原因としては,刈取時期が梅雨期の不安定な気象条件に加えて,農家の稲作準備期でもあり,充分に乾燥しないまゝ高水分での刈取脱穀することによる発芽障害であると考えられ,このため脱穀時の損傷の防止対策が望まれる。脱穀過程における機械的損傷の原因としては,麦粒に対するこぎ歯による打撃,覆蓋・受網その他の部分への衝突等が考えられるが,本研究は覆蓋およびこぎ歯にカーボン紙を貼付して実験を行い,その衝突によってできた台紙上のカーボン濃度より衝突の度数分布曲線を求め,また麦粒のカーボン付着部位より,その衝突あるいは打撃部位を分類した。以上の研究によりつぎのような結果を得た。(1)脱穀中の不発芽粒発生の割合は,こぎ歯による打撃より仏説粒された後飛散して覆蓋に何回も衝突を繰返すことによって発生する割合の方が大であると考えられる。(2)覆蓋の形状で麦粒の流れを急角度で変えるような部分,例えば衝突板や,こぎ口上部の覆蓋の部分に衝突する割合が極めて多く,このような覆蓋の構造は麦粒に傷害を引き起こす原因と思われる。(3)こぎ胴周速度が大になるにしたがって,基部からの衝突が多くなる傾向を示した。基部と背側の胚に近い部分に衝突の痕跡のある麦粒は,こぎ歯の打撃によって生じたものより覆蓋に衝突して生じたものの方が約4倍大であることがわかった。
- 岐阜大学の論文
- 1983-12-15
著者
関連論文
- 農村労働力の流動と非正規就業の実態分析--中国西安市の私営内装業界を事例として
- 農民間普及による技術移転における農民組織の役割 : キリマンジャロ農業技術者訓練センターフェーズII計画の事例をもとに
- 農協主体の農産物直売所における生産者の出荷行動に関する一考察 : 鳥取県T農協を対象として
- 和子牛の個体間価格差の形成要因に関する統計的分析 : 鳥取県の市場出荷成績データ分析
- 農業者年金制度の現状と課題
- ホンジュラス・コマヤグア地域における輸出向けアジア野菜の生産拡大と土地利用への影響
- スリランカにおける果実・野菜産業による契約農業の経済的研究 : ピクルス用キュウリ生産の事例
- リモートセンシング及び現地調査データを用いたホンジュラス・コマヤグア地域における土地利用変化の解析
- 過去および将来の土地利用変化に関する研究 : ホンジュラス・コマヤグア地域を事例として
- 水田作一筆圃場管理システムにおけるデータベースの開発研究