高等学校における「いのちの教育」の研究・第一報
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概要
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本研究は、健康教育の視点から「いのちの教育」を学校設定科目として開講し、授業実践から生徒の自尊感情の高揚をはかることが目的である。研究は、研究Iとして、高校生徒のかかわりを明らかにする目的と、授業のアセスメントをするための調査用紙を作成し調査を行った。研究IIでは、授業のアセスメントのために、授業の第1回目と最終回のアンケート調査を因子分析を行い、"かかわり"に関する認知に変化が生じたかをt検定にて検証した。その結果、研究1で開発した質問紙「高校生の'かかわり'尺度」の設定項目IIIの第1因子である、「家族への信頼」因子が、授業後に有意に高まった。また、同様に設定項目IVの第1因子「学校内友人への信頼」でも、5%水準で有意傾向が見られた。VIの第3因子「家族に対する不信」でも、6%水準で信頼方向への傾向が見られた。これらすべての変化は、「いのちの教育」の授業におけるポジティブな効果と捉えることができた。また授業実践は、答えが一つでない「生きることへの問い」を、生徒同士や教師も共有し、多様な価値観の交換ができる、「学びの場」としての学習プロセス自体に意義が在ると考えた。その為の教材開発・学び方の開発も本研究の目的の一つである。ビデオを用いた視聴覚教材は、生と死に対する具体的な問題を数多く提起し、生徒の興味関心を高めた。フィールドワークでは、直接人とのかかわりを持つことで、生徒達に新たな発見が報告された。外部講師授業でも、多くの価値観の交流がうまれた。授業を通じて提出された、生徒のレポートの中から授業を考察すると(1)いのちの問題は、答えが一つではない事への理解(価値観の交流).(2)自分の考えを発表でき、認められた事への効力感の獲得(問題の共有).(3)幸福感は、人の考え方次第だという考え方(プラス思考).以上の3点があげられた。しかし、生徒の授業を通しての変容を客観的に捉えることは困難も多く、授業のアセスメント方法を更に検討していきたい。
- 2003-02-28
著者
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