流通取引と需給調整 : 延期-投機モデルによる吟味
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概要
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近年わが国においては,Bucklinの延期-投機モデルの説明対象を流通構造から需給調整へと再解釈した研究が進められ,現代の流通構造が投機型から延期型へとシフトしつつあることが指摘されている。しかし,既存研究が一貫して分析道具として用いている延期-投機モデルが多様な解釈を許すモデルであったことに起因して,既存研究が導出した需給調整変数や需給調整様式に関する見解には混乱が見られており,流通取引が果たす多様な需給調整メカニズムの再吟味が必要である。本論では,Bucklinによる延期-投機モデルを需給調整モデルとして再解釈する修正作業と,多様な需給調整様式の識別作業を通じて,流通取引が司る様々な需給調整に関する相互に無矛盾な仮説の導出を企図して,延期-投機モデルの修正を試みる。分析対象となる需給調整様式は,価格投機-在庫量投機型流通,価格延期-在庫量投機型流通,価格投機-在庫量延期型流通,価格延期-在庫量延期型流通の4つであり,これら様式の下で発生しうる種々の現象が,修正された延期-投機モデルによって吟味される。
- 慶應義塾大学の論文
- 2001-10-25
著者
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