日本橋浜町2・3丁目商業史覚書
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概要
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本稿は前稿の浜町1丁目に続き,その町の2・3丁目について,街並みを形成する商業史的特徴を記したものである。江戸時代にこの地がいかなる武家屋敷地であったかを,いくつかの地区に分けて詳述して,その特徴を指摘すると共に,2丁目と3丁目の違いから,明治の新政府のもとでの町の変容に及ぶ。明治初期のこれらの町の土地所有者をみるが,商業化を含め,停滞的な町の姿を探る。これが変化してゆくのは遅く,明治20年後半以降とみるが,明治に入っての最初の商業化の動きであった魚市場開設のいきさつから,更にこの広い敷地利用の陶器商の進出に言及する。これに関連して,浜町3丁目のロケーションの上からみた制約を改めて指摘した後,2丁目に入り,この中における地区別の商店分布から,芝居茶屋,待合茶屋の急速な増加の背景や2・3丁目の営業規模からみた特徴比較に及ぶ。しかし,概して,この町全体の商業化が,他の日本橋商業地区と違って,明治の新しい産業のいぶきが感じられないことを指摘した後,明治45年の土地所有のパターンが,幕末一明治初期のそれと依然として類似しており,全ての意味で,浜町が大きく変貌をとげるのは,関東大震災後のことと結ぶ。
- 2000-12-25
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