中国鉄鋼業の環境負荷と日中技術移転
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
中国の鉄鋼業に日本の生産技術が移転される場合を想定して,実質化された日中両国の環境分析用産業連関表を使い,国際的な技術移転がもたらす環境負荷の変化をシミュレーション分析することが本稿の目的である。具体的な作業プロセスは,「製鉄」「製鋼」「圧延」「その他」の4段階に分けられた鉄鋼業のそれぞれの生産工程におけるエネルギー部門からの投入係数を算出したうえで,中国の産業連関表に日本の鉄鋼業の技術係数を入れ換える。そして,環境分析用産業連関表を用いて,そうした国際技術移転によって中国鉄鋼業におけるエネルギー消費量および大気汚染発生・排出量にどれはどの変化・削減効果が見られるかを推定する。その結果,環境負荷という観点からどの生産工程への技術移転が効果的であるかについてより具体的なイメージの示唆を得る。いわゆる地球温暖化京都会議で合意されたクリーン開発メカニズムは資金供与・技術移転とクレジット(排出削減分)移転との振り替えの仕組みであるが,この仕組みが今後実際的に.有効に機能するためには,技術移転によるベースラインからの排出削減分の評価に関するこうした客観的な分析がきわめて重要な作業となる。
- 慶應義塾大学の論文
- 1999-06-25
著者
関連論文
- 日韓FTAと環境評価の政策シミュレーション分析
- 中国鉄鋼業の環境負荷と日中技術移転
- 地球温暖化対策と国際経済 (福島義久教授追悼号)
- 『日本の国際貢献』
- 国際寡占と貿易政策(白石孝教授退任記念号)
- Semi-Input-Output-Tableによる中国の国際間価格差の測定 (福島義久教授追悼号)
- 中国鉄鋼業石炭消費効率分析
- 開放改革と中国鉄鋼業地域分布の変化
- 中国上海宝山製鉄所における技術選択