地球温暖化対策と国際経済 (福島義久教授追悼号)
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概要
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地球温暖化対策をめぐる国際的な交渉プロセスは決して平坦な歩みのなかにあるわけではない。国際合意の形成までにはいくつもの障害が存在する。そもそも地球温暖化はどれほど緊急・深刻な問題なのだろうか?導入される地球温暖化対策の経済的影響を公平原則や効率性原則に照らして,はたして各国の許容範囲内に納めることができるだろうか?世界経済の市場経済化が進む中で,実際,先進国と途上国との間で効果的な環境協力体制が築けるだろうか?本稿の目的は,これらいくつかの問に答えるために,現在,どのような道具・処方箋かあるかを確認するための整理作業である。政策シミュレーション分析による数値結果をどこまで客観的な交渉材料として利用可能かを考える。結論的には,多様な争点の各特性に適した分析モデルの実証結果とそれらの補完的な活用は,現実の地球温暖化対策が国際的な環境協力の枠組みで効果的に運営されるための重要な科学的知見となる。
- 慶應義塾大学の論文
- 1997-10-25