開放改革と中国鉄鋼業地域分布の変化
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概要
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中国では,改革・開放路線を開始した80年代以降,国内・国外分業体制の確立によって,鉄鋼業は積極的に海外あるいは地域外の資源を利用する動きが見られる。中国各地域の鉄鋼業と鉄鉱石・石炭の相関関係から資源面と鉄鋼業立地の関連を分析した結果,特に際だっているのは,「鉄鉱石自給型・石炭移入型」の東北地域と「鉄鉱石移輸入型・石炭移入型」の華東地域との対比である。本分析によると,東北地域は鉄鋼生産のシェアが低下しており,華東地域は急速に上昇している。国際分業の進展が近年進んでいる「鉄鉱石移輸入型・石炭自給型」の華北地域においても同様な傾向が見られる。すなわち,分業体制の中に積極的に加えるように見えるのは,沿海地域の華東だけでなく,華北と華中も動き出しつつある。これによって,中国おいては鉄鉱石品位が低いという構造上の問題の解決や生産性の向上,資源利用の効率化,国際競争力の強化に寄与すると思われる。また沿海地域と内陸地域の経済格差を是正する政策の一環としても重要である。
- 慶應義塾大学の論文
- 2000-12-25
著者
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