Semi-Input-Output-Tableによる中国の国際間価格差の測定 (福島義久教授追悼号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
発展途上国では市場の不完全性や政府の介入などによって価格のディストーションは起こり,そのため,市場価格とは異なっていわゆる計算価格で作業する方法がよいという認識は一般的である。経済改革と伴って,投資プロジェクトに対する経済評価が重要なプロセスとして要求されつつある中国では,このような計算価格を用いて行うのが重要だと思われる。さらに改革以来,対外貿易を指令制計画から企業の自主的判断によって行われるようになった。政府の統制が解除ないし緩和されているが,政策手段として価格・為替レート・輸出入補助金・関税等「経済杠杆(てこ)」がよく多く使われるようになった。その後中国は,GATT体制と整合的な方向に向かって貿易自由化措置を次々に実施してきたが,輸出数量・金額の計画的割り当て,市場価格より低い価格で輸出財の買い上げ,複雑な外貨留保等諸制度・措置がなお残っており,GATT体制とは整合的ではない。こうした関税以外の貿易障壁の把握も重要である。本稿では,以上の問題意識を用いて中国の1985年の非競争型産業連関表と各種の貿易統計を用いて中国の各部門のcoversion factor (CF)すなわち国際価格と国内価格の比というパラメータを測定する。さらにこのパラメータによって提示される各部門の国際価格と国内価格の差を分析する。本稿の構成は以下の通りである。第2節ではCF値の定義とSemi-lnput-Outputモデルを説明する。第3節では外生変数としての本源的生産要素に関する諸仮定を説明している。第4節では,貿易財と非貿易財の区分及びSIO表の構成を説明する。第5節では,中国のSIO表の作成と測定結果を分析する。
- 1997-10-25
著者
関連論文
- 中国鉄鋼業の環境負荷と日中技術移転
- Semi-Input-Output-Tableによる中国の国際間価格差の測定 (福島義久教授追悼号)
- 中国鉄鋼業石炭消費効率分析
- 開放改革と中国鉄鋼業地域分布の変化
- 中国上海宝山製鉄所における技術選択