兵庫県豊岡市のかばん産地に見る地場産業のマーケティング戦略の現状と今後の方向性(その2)
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概要
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我々は,91年以来兵庫県豊岡市のかばん産地に関するフィールド・リサーチを続けている。同市の財団法人但馬地域地場産業振興センターから依頼された,3度目の調査報告書の作成にあたっては,産地問屋,メーカー,材料商という産地内部での枠を超えて,若手経営者達に参画して頂くことにした。すなわち,豊岡かばん業界という地場産業全体を1つの経済主体ととらえる場合,この産地全体の活路を見出すにはどのような問題を克服する必要があるかという点について,業界人の立場から提起された諸問題を整理することを,同報告書の主要目的としたのである。若手経営者達からは,産地企業の協力体制さえ整えば克服可能な課題群が数多く提示された。個別企業レベルでの対応をどうすべきかというテーマは残されていると思われるが,我々は,同報告書をもって,業界人の参画による産地の活性化プロジェクト(あるいはマーケティング戦略)立案の出発点に,ようやくにしてたどりついたと考えている。続く平成7年度には,いわゆる『集積活性化法』の一環で,東京,大阪,福岡のかばん・袋物の売り場に関する市場調査が実施されたのであるが,この調査には,産地内の3つの業種の経営者のみならず若手社員の参加を得ることができた。ところで,とりわけ平成6年度の報告書において,若手経営者達が提出した産地の諸問題のいくつかは,根本的に,我が国かばん業界の流通経路の複雑性にかかわるように思われる。本稿においては,最近我々が提出した2つの報告書の概要説明に加え,我が国のかばん類の流通段階における特性とともに,特に小売段階における最近の変化についても若干の考察を加えて,国内の生産拠点の問題点を,前稿とはまた別の角度からとらえたいと思う。
- 1996-06-25
著者
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