当院における原発性両側性乳癌の臨床病理学的検討

概要

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1986年1月から2003年9月までに市立伊勢総合病院で経験した原発性両側性乳癌15例(全乳癌手術症例の4.0%)を対象とした。内訳は同時性8例、異時性7例で、全例女性であった。手術時平均年齢は同時性61.3歳、異時性第1癌58.3歳、第2癌65.9歳であった。異時性症例の手術間隔は平均7年7ヶ月で最長は31年であった。異時性第2癌は全例T1であり、両側リンパ節転移陽性は同時性で25.0%、異時性では0%であった。臨床病期を見ると同時性の1例は他臓器転移を伴う Stage IV症例であり、一方異時性症例の第1癌は Stage I 4例、II 2例で、Stage IVは認めず、第2癌は全例 Stage Iであった。術式・組織型では両群間に差は認めなかった。ER陽性率は同時性66.7%、異時性第1癌40.0%、第2癌20.0%で、同時性で高率であった。予後を見ると同時性症例では無再発生存6例、再発生存1例、原病死1例で、異時性症例では無再発生存4例、原病死2例、他病死1例であり、累積5年生存率は同時性87.5%、異時性62.5%であった。他臓器悪性腫瘍の合併は一側性の2.4%、両側性の13.3%に認め両側性で高頻度であった。今後両側性乳癌の増加が予想され、対側乳房を含めた定期的な全身検索や患者自身の体側乳房への関心・自己検診を啓蒙することが重要であり、また検診を含めた長期継続的な follow up system の構築も必要である。
三重大学の論文
2003-12-25

当院における原発性両側性乳癌の臨床病理学的検討

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