タブラーダ第二のハイク集『花壷』をめぐって
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概要
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『花壷』(El jarro de flores)は、『ある日……』(Un dia...)につづくホセ・フアン・タブラーダ(メキシコ、1871-1945)の第二のハイク集である。明治33年(1900)に日本を訪れたタブラーダは、1919年に『ある日……』を、その3年後の1922年に『花壷』を発表した。ラテンアメリカの文学に、少なからぬ影響をあたえることになったタブラーダのハイクは、おもにこのふたつの詩集に集約される。両者をくらべると、『ある日……』を特徴づけていた小さな生き物たちへのあたたかな眼差しや軽やかなユーモアは、『花壷』ではかげをひそめ、より内省的で哀しみを帯びた作風へと変わっていったことがわかる。また『花壷』では、いくつかのハイクの連なりが、ひとつの物語を織り上げていくようにも仕組まれており、新しい地平を開拓しつづけたこの詩人の特性がうかがえる。『ある日……』でハイクの世界へ分け入ったタブラーダは、このこの第二のハイク集でその世界をくぐりぬけ、あらたな地平へと向かおうとするかのようである。本論では、拙稿「タブラーダの最初のハイク集『ある日……』(『清泉女子大学紀要』第48号)の続編として、『花壷』でタブラーダのハイクがどのような変化をとげていったのかを明らかにする。
- 清泉女子大学の論文
- 2002-12-25
著者
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