タブラーダの最初のハイク集『ある日……』をめぐって
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
メキシコの詩人ホセ・フアン・タブラーダ(1871-1945)は,明治33年(1900年)に日本を訪れ,数カ月滞在した。その折りの体験をのちに『日の国にて』という小さな本にまとめ 1919年にニユーヨークで刊行した。また同じ年に,カラカス(ベネズエラ)で『ある日……』(Un dia...)という詩集を世に送り出した。この詩集には37篇の3行短詩が収録されていた。大判のページに余白をふんだんに残し,また片隅には,蛙や蜘蛛や鶴などの小さな絵も描いた。タブラーダは,この作品を通じて,初めてラテンアメリカに「ハイク」を導入し,この地域の多くの詩人たちに少なからぬ影響を与えることになった。本論ではそれらの詩句が生み出された背景や,詩集を4つのセクション(午前・午後・黄昏・夜)に区切り、それぞれの時間帯に複数の作品を配したタブラーダの意図などについて考察を加える。タブラーダのハイクにはいわゆる「季語」というものがないが,「午前,午後……」と循環する時間を設定することで,各詩篇に独自の場を与え,それにより作品に盛り込まれたイメージを強力に際立たせることに成功したのである。
- 清泉女子大学の論文
- 2000-12-25
著者
関連論文
- ホセ・マリア・アルゲダスの企み : 「ワルマ・クヤイ」の動物群と語りの効果
- ALEJO CARPENTIER : DEL SURREALISMO AL REALISMO MAGICO
- La ternura y el resentimiento de los indios: en torno a la locura de "Dona Caytana" de Jose Maria Arguedas
- タブラーダ第二のハイク集『花壷』をめぐって
- タブラーダの最初のハイク集『ある日……』をめぐって
- ホセ・マリア・アルゲダスの『愛の世界』における淫欲と罪悪感
- アルゲーダスの『深い河』における主人公の内面世界について : 第七章「暴動」を中心に
- フアン・ルルフォにおける父親と息子の関係性について
- ルルフォの短編における物語と構成の関係性
- 『都会の犬ども』の構成と叙述技法