人間労働の原理 : 初等教育教員のための経済学
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,小学校社会科教科書に記載されている経済問題において直接的に見えてこない経済学理論の一部を初等教育教月のために体系的に整理することを目的としたものである。小学校社会科教科書の全般的特徴は写真,図,イラストなど豊富に取り揃え,可視的に理解を深めるように編成されている。経済問題においては,農業,漁業,林業などの第1次産業,製造業などの第2次産業,商業,運輸・通信,サービス業などの第3次産業が「働く人々の様子」を写真等で前面に出し,可視的に問題意識を高め,理解を深める工夫がなされている。このような教科書を使って児童に社会科を教える教員に必要な能力は,その基本としてある程度の理論を身につけていなければならない。もし教師に理論的理解がなかったならば,皮相的な教育に終始してしまうであろう。写真や図で示されたものの背後にある理論を見据えての教育がなされなければならない。教師は児童に抽象的な理論を教えるというのではなく,人間の社会関係をその発達段階に応じて理解させなければならない。この目に見えない人間の社会関係を理解させるためには,教師自らが理論武装していなければならないのである。そこで,本稿では小学校社会科教科書の経済問題を「働く人々の様子」を中心に抽出し,教師用指導書の「ねらい」を参考にして,経済学理論としての「人間労働の原理」の体系化を試みたものである。This paper is the thing that I consolidated the part of the theories of economics for the teachers of elementary education. The texts of social studies of elementary school are visual with a lot of pictures and illustrations. Especially the problems of economy are visual. There are a lot of pictures of the state of laboring people in the texts of social studies. Therefore the teachers of elementary education have to understand the principle of human labor. That is the part of the theories of economics. I make no dout that the teachers can understand the economic problems deeply, if they understand the principle of human labor as the theory of economics.
- 上越教育大学の論文
著者
関連論文
- 商品価格の二重性と市場価格の形成 : 池上惇著『経済学への招待』における事例の図式化
- 市場価格形成の論理 : 吹春俊隆著『経済学入門』批判
- 新潟県における産業空洞化の特質
- 人間労働の原理 : 初等教育教員のための経済学
- 貨幣の機能と信用 : 岩井克人『貨幣論』批判
- 価値形態論で解明すべきこと : 岩井克人『貨幣論』批判
- 「利潤率の傾向的低下の法則」における理論的矛盾
- "貨幣の資本への転化"における歴史論理性と剰余価値の源泉について : 東ドイツと日本のマルクス経済学教科書の共通性と相違点
- 上越市の工業振興策の展開
- 化石人類における道具の発達に関する経済学的考察 : 人間的労働の原理