支笏火山40ka噴火の規模に関する検討
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概要
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支笏カルデラを形成した噴火について,その規模を定量的に検討した。この噴火の堆積物は,主に降下軽石(Spfa-1)と火砕流堆積物(Spfl)から構成される。降下軽石の総量については,結晶法によって56.17×10^<15>gという値が得られた。最大岩片粒径分布から,この降下軽石をもたらした噴煙柱は約50kmの高度まで達し,そこから粒子は30-40m/sの強い高層風の影響をうけて拡散したと推定される。火砕流堆積物の体積は,分布域の一部の扇状の地域における層厚分布から推定した結果,225km^3という値を得た。従って,この噴火で噴出した物質の総体積をマグマの体積に換算すると,139.5km^3になる。この値はカルデラの地形的凹地の体積(115km^3)より若干大きい。しかし,重力異常から求められる地下構造の質量欠損こよってこの食い違いは説明できる。The bigness of the caldera forming eruption of Shikotsu volcano was examined quantitatively. The deposits of the eruption are mainly consisted of the large scale pumice fall deposit (Spfa-1) and pyroclastic flow deposit (Spfl). The total mass of the Spfa-1 was calculated as 56.17 X 10^<15>g by the crystal concentration method (Walker, 1980). The eruption column height and wind speed of the upper air current was estimated from the maximum lithic size distribution. The eruption column, which produced the Spfa-1, was ascent to the altitude of ca. 50km, and the particles were dispersed from the height being affected by the strong westerly wind (30-40 m/s). The volume of the Spfl was calculated as 225km^3 from the thickness distribution of the Spfl in the specific fan shaped area. The dense rock equivalent volume of the hole deposits of the Shikotsu 40ka eruption was estimated as 139.5km^3. This value is larger than the volume of the topographic depression of the Shikotsu caldera (115 km3). But, the mass deficiency estimated by the gravity anomaly over the caldera (Yokoyama and Aota, 1964) would account for the discrepancy of the volume.
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