<論文>わが国における社会福祉の構図 : 生活文化福祉の基礎土壌として
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概要
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本論は, 生活文化福祉論の基礎土壌として, 行政推進される現代社会福祉の構造を整理したものである。現代社会福祉は, 基本的には, 憲法13条, 24条, 25条, 26条, 27条, および民法家族法を根拠に具体化される。それは, 家庭に発生する生活障害問題の緩和・解決をめざして, それが夫婦自助努力を前提に, その努力を補完すべく住民相互扶助と公的責任によって担われるという形で具体化される。前者は主として家族の生活障害者化防止の福祉として, 後者はその補完福祉としてである。全体としては, 問題対処的性格に固執されつつ, 今日的には, 福祉がより生活の安定を図るという観点から自助努力強化の方向で推進・拡大される傾向にある。具体的には, 現代社会福祉は, (1)自助努力強化の福祉, (2)自助努力相互補完の福祉, (3)自助努力代替の福祉, という具合いに重層構造化されてきているといえる。今日的にいえば, (1)は, コミュニティ福祉, (2)は, 在宅福祉, 社会参加促進の福祉, (3)は, 入所施設福祉に相当する。分野別には, 児童福祉, 障害者福祉, 老人福祉, 生活保護, 母子・寡婦福祉という形であらわれているが, それらは, 概ね上記三層構造をもつ福祉として整理することができる。ただ, 生活保護, 母子等福祉については, 他の福祉とは異なり, 独立独歩の性格をもち, 他の福祉を協力福祉として成り立つという違いはある。さらにいえば, 生活保護, 入所施設福祉は, 自助努力を最も底辺から支える福祉として共通性をもちつつも, 前者は独立独歩の在宅福祉として, 後者はその補完的福祉としての位置づけをももっていることは, 両者が陸つづきであることを示す。ところで, 現代社会福祉の問題点といえば, 民法家族法理を根拠に問題対処的に, そして, それが「住民相互扶助優先の原則」のもとに「自助と補足性の原則」で展開されるにとどまっていることである。重要なことは, 「家族生活の二重構造的理解」にもとづき, その2側面を作りだし, それとの関わりで社会福祉援助実践論を考えることが必要であろう。それは, 子育ての方法論を確立するためにも避けて通れない課題でもある。
- 聖カタリナ大学短期大学部の論文
- 1999-03-10
聖カタリナ大学短期大学部 | 論文
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