海洋科学における高精度AMSの利用
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概要
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第2世代タンデトロン(4130-AMS)は, ^<12>C, ^<13>C, ^<14>Cを同時に測定する, 現代炭素で20分の測定で^<14>Cで200,000カウントの測定が可能, 59試料の連続測定が可能, など多くの利点を有している。このことは, 第1に多数の試料を同一条件でを短時間で測定が可能となることを意味し, 海水中の溶存無機態炭素の年代測定など, 多数の試料を同一条件で迅速に測定することを可能とし, 海洋での2次元または3次元分布を求めることが可能となる。第2には, 現在鉄触媒水素還元法では安定な結果を得るには試料として炭素1mgを用いるのが標準となっているが, もし0.1mgでも測定が可能となれば, 海水の無機炭素であれば4ml海水で,有孔虫であれば1mgでまた堆積物中の有機態炭素であれば堆積物5mg(Corp=2%)で測定が可能となり, その応用範囲の拡大ははかりしれない。さらにこれまで測定が難しかった海水中の溶存有機態炭素や溶存メタンの^<14>Cの測定が現実のものとなりうる。この装置を有効に活用するためには, 効率的かつ安定したターゲット調整法・システムの構築, 0.1mgオーダーの少量炭素試料での測定の実現, カウント数だけではなく実質的測定精度の評価と向上手法開発等が求められる。実際に応用が想定される海洋科学における幾つかの研究課題について議論した。
- 名古屋大学の論文
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