<論文>技術予測情報と意思決定システムとの適合性
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概要
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技術予測は日本では約30年前に高い注目度をもって実施され,以後定期的に科学技術庁によって実施されるほど定着している反面,理論的基礎が解明されていないこともあり,最近では,実施機関である科学技術庁自身の出版物でも無視されており,実際の技術開発に関する意思決定に利用されているとは判断できない。実際面で無視される理由の一つは,今なお予測結果の読み方が知られていないことにあると思われる。本論文は,意思決定論的基礎を論じることにより,技術予測情報の利用法を考察することを目的とする。すなわち,技術予測が技術開発に関する意思決定のための情報であることを考慮し,技術予測情報と技術開発に関する意思決定システムとの適合性を考察し,評価する。具体的には定量的技術予測手法として最もよく使用される外挿法と,科学技術庁など政府機関による大規模な技術予測において最もよく使用されるデルファイ法を取り上げ,意思決定行動に関する概念的分析により,一見単純なこれらの手法の背後に,技術開発に関する意思決定システムに対応する構造が見出されることを考察する。最後に,意思決定システムや,その構成員である意思決定者の思想,そして意思決定システムの外部環境における最近の変化と,それらへの対応について考察する。とくに,上記の単純な定量的手法に対する批判として,最近提唱されている定性的総合的技術予見Technological Foresightについて,その概念と意思決定システムとの適合性を考察する。
- 2001-01-31
著者
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