米国多民族社会に於ける少数民族の動向分析'その1' : アフリカ系アメリカ人の場合
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
多民族社会に於ける人種関係を観察するに当たって, 従来から2つの相反する見方が存在する。その1つは多民族社会での多数の人種集団の存在は必然的に社会的不平等と人種集団を基盤とした階級制度を生む結果をもたらすが, これらの社会状態は, その社会の構成員に返って平等意識を与え, 社会貢献に対する意欲を植え付けることになるという立場をとる考え方であり, もう1つの理論は, 社会的な不平等性や階級制度は, その社会の構成員であるなしに関係なくそれを認めることは道徳を無視することにつながり, 見逃すことは許されないという考え方である。前者の論理は社会的機能を重視する者達によって支持され, 彼らによれば, 人間には基本的にそれぞれ人物, 識見, 能力等に差がみられ, 個人はそれらを生かしながら, 生活をしており, 従って, 個々の人間の生活状態にも差が生じるのは当然なことであるという見解を保持している。これらの社会的不平等性や階級意識をすべて一律にすることは不可能であり, その様な努力を払うことこそ社会の自然の法則に逆行することになり, 納得し難いというのが機能主義者の言い分である。一方, これに反して社会の平等や少数民族を基盤とした階級制度を取り除くべきだと主張する者は社会変革に闘争精神を燃やすことから闘争者と呼ばれ, 彼らの立場は特権階級を排除することに賛同することにある。この論文はこれら2つの考え方が人種騒動に於ていかに直接的或いわ間接的に反映されてきたかを考察するために書かれたものであり, 4つの異なった種族を対象とした最初の部分でアメリカ系の黒人にその主眼を置いた。
著者
関連論文
- 米国多民族社会に於ける少数民族の動向分析'その1' : アフリカ系アメリカ人の場合
- 1960年代以前の日系移民とII世の間でみられた少数民族的態度
- 米国多民族社会に於ける小数民族の動向分析'その2' : 新・旧日系移民の場合
- 小民族の構造的同化現象 : 日系アメリカ二世を例にして