色の見え区分に関する研究 : Color Appearance Diagramの提案
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概要
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色材によって表現された物体色を用いる色彩分野においては,色の見えによって色の選択や配色が行われているが,色の見えそのものに関する定量的な尺度は,これまで未だ提案されていない。ただわずかに,たとえばわが国では,明度と彩度とを組み合わせたいわゆる「トーン」概念などが,色の見えを表すものとして用いられているが,この概念は感覚的な立場において設定されているだけのものであって,未だ明確な定量式定義が与えられていない。したがってその本質はなお定性的な理解にとどまり,普遍的に活用できるようなものとなっていない。本研究では,この色の見えについて,色濃度概念による解析を試み,測色学的な定量性を与えた。これによって色の見えは,視感に依存することなく,純粋に客観的な手法で決定できるものとなった。またこれを視覚的に表示するためのD_L*-C・CA diagramおよびD_L*-B・CA diagramを提案した。測色されたXYZ表色値を先ずHVC表色値に変換し,さらにそれから色濃度指数D_L*を算出すれば,その色度点をCRT画面に描いたD_L*-CまたはD_L*-B・CA diagram上にプロットすることができる。このことはほとんど瞬時に行えるので,色の見えの構成分析はきわめて容易なものとなった。
- 宝塚造形芸術大学の論文
- 1988-06-25
著者
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