マ-ク・アップと投資(福原行三教授還暦記念号)
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概要
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本稿の目的は,ポスト・ケインジアンの価格理論を手掛かりにして,寡占企業の価格決定における政策目標,すなわち寡占企業が製品の販売価格を決定する際のマーク・アップの決定因,換言すれば,製品の生産費に積み増しされるグロス・マージンの決定因は何か,あるいは何であるべきか,ということを明らかにすることにある。ポスト・ケインジアンは,カレツキ流に,諸市場を競争的「伸縮価格」市場と寡占的「固定価格」市場の二つのカテゴリーに分ける。伸縮価格市場とは,原料および一次食糧品のように特定の市場期間内において供給が所与であるため,価格が需要水準に依存して調節される市場である。また,固定価格市場とは,工業製品もしくは「完成財」のように,生産者の生産能力に余剰が存在するため,産出高が需要の変化に対して感応的であり,価格は比較的に不変に保たれる傾向のある市場である。そして,ポスト・ケインジアンは,現代資本主義経済の主要産業部門は,ほとんど寡占的産業構造を有し,また,この第2の市場形態すなわち固定価格市場を形成していると主張する。それでは,この固定価格市場における価格は如何にして決定されるのであろうか。これが本稿の取り組む課題である。
- 大阪府立大学の論文
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