油桐 Aleurites Fordii HEMSEL 果実の乾腐病(新称)について
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概要
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1) 1955年2月初旬に西京大学農学部構内に於てA. Fordii HEMSEL果実の乾腐を原因する珍しい病害を発見し, 引続き病原菌の分離純粋培養に成功した。爰にその病徴及び病原菌の形態について記載し, 併せて病原菌の生理学的性質, 病原性等に関する実験結果の大要を報告する。2) 本病々原菌の侵害を受けた果実は黒褐色に変り, その表面に黒色の小隆起点を密生するが, 外見上果皮に異常を認めない場合でも核仁が腐敗する場合が少くない。3) 本病々原菌の培地上に於ける菌糸発育に対する最適温度は28℃附近と看做され, その高温致死限界は46℃から51℃の間にあり, 10分間で死滅する。4) 柄子殻は培地上では適温附近で20∿25日間位で成熟し, 乳白色粘質の胞子塊を噴出する。紫外線照射はその形成を促進するが, 形成された柄子殻は無照射区よりも著しく小形となる。5) Aleurites Fordii HEMSEL果実に対する接種試験では, 菌糸, 胞子共に有傷, 無傷に関係なく発病したが, 苹果では有傷の場合のみが陽性であつた。又茄子果実に対しては有傷接種の場合でも陰性であつた。6) 本病は恐らく新病害と看做されるので, 油桐果実の乾腐病なる新称を提案したが, 未だ病原菌の完全時代が発見されないから, その学名は暫らく保留して仮りにPhomopsis sp.として置く。
- 京都府立大学の論文
- 1956-09-01
著者
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葉 貞聰
西京大學農學部植物病學研究室
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葉 貞聰
京都府立大学農学部植物病学研究室
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安部 卓爾
西京大学農学部植物病学研究室
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安部 卓爾
京都府立大学農学部植物病学研究室
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葉 貞聰
西京大学農学部植物病学研究室
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安部 卓爾
西京大学農学部
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