都市排水システムにおける雨水流出シミュレーション
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概要
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本研究では, これまで, 1排水幹線規模の区域(0.234(km)^2)を対象に詳細な検討を進め, その有用性を明らかにしてきた都市雨水流出シミュレーション・モデルを, さらに規模の大きい排水管渠システムをもつ松山市街地域(6.46(km)^2)に適用し, このような都市域の雨水流出を実用上の精度で解析できる流出シミュレーション法について検討を進めた。得られた結果を要約すると以下のようである。等価流域Model Iと管渠流出の追跡に簡便なKWモデルおよび詳細なDWモデルを用いて, はじめに, 浸水はんらんの発生しない中小出水を対象に流出シミュレーションを行い, これらの結果を実測結果と対比して本法の適用性を調べた。その結果, 大規模な排水管渠システムからなる都市流域において, 中小出水(小規模のサーチャージを伴う出水を含む)を対象とする流出解析では, 等価流域Model IとKWモデルを用いる簡便な流出シミュレーション法が, 実用上きわめて有用であることが分った。次いで, 調査流域で既往最大級の浸水はんらんが発生した昭和54年梅雨前線豪雨時の出水を対象に, 等価流域Model Iと管渠流出の追跡にDWモデルを出いる流出シミュレーション法を適用し, これらのシミュレーション結果を実測結果と対比して適用性を調べた。その結果, 大規模な排水管渠システムからなる都市域において, 浸水はんらんを伴う出水を実用的に解析するにあたって, 等価流域Model IとDWモデルを組み合わせた流出シミュレーション法の有用性が明らかにされた。また, サーチャージを伴う管渠流出モデルの簡易化の方向について, DWモデルによる流出シミュレーション結果をもとに, 運動方程式各項のオーダーを詳細に調べた結果, 管渠システムの流れを一貫してdiffusion wave流れとして簡易化して取り扱う方法が, 実用上有用であることがわかった。本研究は文部省科学研究費による成果の一部であることを付記する。
- 神戸大学の論文
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