六甲山地古生層地帯における林地の土壌の物理性の月別変化

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瀬戸内海周辺地域の照葉樹林成立域に現存する植生地の"植物群落-土壌系"の発達,安定の程度を知る一環として,兵庫県下六甲山地古生層地帯の林地の土壌の物理性の月別変化を調べた。本報告では,古生層地帯の二次林を代表するアカマツ林,コナラ林そしてニセアカシア林,ならびに小面積で点在する照葉樹林の土壌の容積重,孔隙量および採取時水分量の一年間の月別変化を,草地と比較して述べる。本古生層地帯は3地域からなり,各地域の土壌はそれぞれ特性をもっているが,各地域に位置する12林地について調査した結果から,各林地の深さ0∿10,10∿20,20∿30cmの各土層土壌の物理性の測定値をもとに算出した深さ0∿30cm土層土壌(吸収根分布層土壌)の物理性の月別変化の変動値(最大値と最小値の差)は,調査地点の位置する各地域の土壌の特性の影響を強くうけながらも,各林地の植被,現存量および"植物群落-土壌系"の発達や安定の程度との関連が若干みられ,コナラ林土壌は他の林地土壌に比べ変動値が小さく,物理性も良好であった。しかし,本調査林地全般について,土壌の容積重および孔隙量の各月の測定値から判断しうる物理性の良否が調査林地の月別変化を規定し,物理性の良好な林地では変動値が小さい傾向がみられたが,物理性が全般的に良好な草地に比べると変動値は大きかった。本古生層地帯の草地,とくにススキおよびネザサ草地は過去において"植物群落-土壌系"がよく発達していたと推察される立地(褐色森林土)上に成立しているのに対し,林地は褐色森林土が生成していたと思われる立地の受触土あるいは褐色森林土型の未熟土または未熟土上に成立している場合が多いと思われた。
神戸大学の論文

六甲山地古生層地帯における林地の土壌の物理性の月別変化

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