口腔領域における痛みに関する行動薬理学的研究(第III報) : マウスの行動に及ぼすカプサイシンの歯肉内投与による影響

概要

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マウスの行動に及ぼすカプサイシソ(Cap)の歯肉内投与による影響を検討し, 以下の知見を得た。Capを歯肉内投与(ig)すると投与直後より情動過多を表す激しい口帝声(vocalization)をあげながら口元を引っ掻く(mouth scratching)等の仮性疼痛反応の指標が観察された。また, 投与直後より, 疾走性発作(running fit)や跳躍(bouncing)を繰り返し自発運動量の測定は不可能であった。その他の症状として正向反射の消失, 痙攣, salivation, penile erectionが認められた。他の投与経路(脳室内投与 : icv, 静脈内投与 : iv, 腹腔内投与 : ip, 皮下投与 : sc, 経口投与 : po)においては, 症状発現までの潜時において差は認められたものの, ほぼ同様の症状が観察された。Ig, icv, ivは投与直後に症状が出現し, ip, sc, poは効果発現に要する時間は前群と比較して長く, iv=icv=ig<ip<po<scの順であった。Ig投与による疾走性発作等の効果発現までの時間は, 静脈内投与とほぼ同じであり, このことは, 歯肉内に投与された薬物が容易に静脈より吸収を受け効果を発現するものと思われる。
東北大学の論文
1987-12-01