顎関節機能障害の診断学的研究 第三報 顆頭位の定量的X線診断
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概要
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顎関節機能障害患者のX線的診断基準を得るため, 20歳代の225名を対象1(青年群), 軽度の顎関節機能障害と診断された341名の患者を対象2(患者群)とし, 側方顎関節規格X線写真の顎関節腔の面積を定量的に計測して左右側の顆頭位を求め, 二次元座標上で臨床症状と顆頭位の関係などについて検討を行った。また対象2で咬合治療を行い臨床症状が消退した後, 3〜4ヵ月後に経過観察のため来院した患者45名を対象3(治療者群)とし, 初診時と臨床症状消退後の顆頭位を比較検討した。その結果, 対象1において臨床症状と不正咬合がみられない者の左右側の顆頭位は第一象限の0から0.5の範囲に約90%みられ, 前後及び左右の偏位が少なかった。対象2において骨の形態的異常が無く, 片側に雑音, 疼痛及び雑音と疼痛を認めた症例は31例, 56例, 65例で, それらの左右側の顆頭位は第一象限以外の象限にそれぞれ22例(71%), 31例(55%), 43例(66%)みられ, 前後及び左右の偏位がみられた。対象3において左右側の初診時の顆頭位は第一象限に18例(45%)であったのに対して, 臨床症状消退後の左右側の顆頭位は第一象限に33例(73%)と増加した。以上の結果から顎関節に骨形態の異常のみられない者に対し, 顆頭位を面積によって定量的に求め, 左右側を一対として分析することは本疾患のX線的診断に役立つものと考えられた。
- 東北大学の論文
- 1985-12-25
著者
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