顎裂部への早期新鮮自家腸骨海綿骨細片移植術後の上顎骨の成長について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文の目的は, 顎裂を有する口唇裂口蓋裂患者に, 5歳ないし6歳という比較的早期に顎裂部への新鮮自家腸骨海綿骨細片移植(以下;骨移植)を行った場合の上顎骨の成長について調査し, 適切な骨移植時期を明らかにするものである。対象症例は, 東北大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部で咬合管理を行っている口唇裂口蓋裂患者のうち, 1993年10月から1995年12月までの期間に, 同第二口腔外科で5歳ないし6歳時に顎裂部への骨移植を施行された20症例である。本研究の資料と方法は次の通りである。1.骨移植直後と3年以上経過後(平均;3.9年)に撮影したX線CTによる上顎骨成長の観察。2.5歳ないし6歳で骨移植された対象症例の9歳ないし10歳時と, 骨移植していない同年齢の症例のX線CTによる比較。3.対象症例と健常児の上顎骨成長の上顎石膏模型による比較。これらの研究の結果は, 1)X線CT分析では上顎犬歯部の幅径が, ほとんど成長せず, 骨移植していない場合に比較して有意に小さい傾向がみられた。2)上顎石膏模型分析では, 対象症例の上顎犬歯部幅径を健常児と比較したところ成長の抑制が認められた。以上より骨移植の手術時期は, 5歳ないし6歳の時期より, 永久前歯萌出後の8歳頃が適切な時期であることが示唆された。
著者
関連論文
- Bernard変法により即時再建を行った下唇癌の1例
- 骨移植を行わない二次的顎裂閉鎖 - 第2報 X線CT像による骨形成の評価 -
- 顎裂への新鮮自家腸骨海綿骨細片移植
- 顎裂部への新鮮自家腸骨海綿骨細片とハイドロキシアパタイト顆粒との混合移植例について
- 口唇・口蓋裂患者の顎裂部への Osseointegrated Implant の応用 : Implant 植立のための顎裂部骨架橋の評価
- 顎裂への新鮮自家腸骨海綿骨細片移植術 : 術後早期にみられた経過不良症例に関する検討
- 口唇裂口蓋裂患者へのosseointegrated implantの応用 : オトガイ部皮質海綿骨移植後の経過について
- 口唇裂口蓋裂患者へのosseointegrated implantの応用 : 顎裂骨移植部へのimplant植立における術前診査
- 口唇・口蓋裂患者の顎裂部へのOsseointegrated Implantの応用 - 額裂骨移植部へのBranemark Implantの植立 -
- 顎裂部へ二次的早期骨移植術を施行した症例の検討 -術後の骨架橋形成について-
- ダウン症候群患者に発生した含歯性?胞の1例
- 3.上顎骨骨折症例に対する上顎前方牽引装置の使用経験(第35回東北大学歯学会講演抄録)(一般演題)
- 高齢者で顎裂の広い症例に対する二次的骨移植の1例 : 二段階による顎裂部骨移植
- 多発性特発性歯根吸収症の1例 : 歯根骨内埋伏による治療法
- 顎裂部骨架橋形成後に著明な骨吸収を認めた一例 : 口唇頬粘膜弁の影響について
- 顎裂部骨移植後の経過不良症例に対して再度骨移植した症例の検討-初回骨移植時と再骨移植時の顎裂部の相違-
- 下顎骨オトガイ部より採取した海綿骨にて顎裂部へ骨移植を施行した2症例
- 顎裂部への早期新鮮自家腸骨海綿骨細片移植術後の上顎骨の成長について