口腔粘膜刺激により誘発される顎筋反射に関する研究

概要

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咀嚼時の下顎運動は, 脳幹部の中枢性パターン発生器でその基本パターンが形成され, 末梢感覚により誘発される顎筋反射により修飾されて円滑に営まれている。顎筋反射の発現機序, 機能的役割に関する研究は, これまで主として歯根膜受容器や咀嚼筋筋紡錘由来の反射を対象として行われてきた。しかし, 口腔粘膜由来の反射に関しては未だ不明なところが多い。そこで本研究では, ラット口腔粘膜刺激により, 顎二腹筋前腹および咬筋に誘発される反射応答を電気生理学的に検索した。顎二腹筋前腹には潜時約6msecの応答と潜時約60〜110msecの持続性応答が誘発され, 咬筋には顎二腹筋前腹の長潜時応答とほぼ同閾値で潜時75〜140msecの持続性応答が誘発された。機械刺激に対する顎二腹筋前腹および咬筋の長潜時応答は刺激時間の延長に伴いその応答時間が延長し, さらに刺激強度の増大に伴いリズミカル応答へ移行した。電気刺激, 機械刺激に対する応答性, さらには求心性神経束に対する浸潤麻酔の影響から, 顎二腹筋前腹の短潜時応答はこれまでの報告に対応した侵害性あるいは非侵害性受容器の興奮によって誘発される開口反射応答であると考えられた。一方, 顎二腹筋前腹および咬筋の長潜時応答は機械受容器由来の応答であることが示された。機械刺激によって容易に誘発される顎二腹筋前腹および咬筋の長潜時応答は, 咀嚼時の下顎運動制御に密接に関わる反射である可能性が示唆された。

口腔粘膜刺激により誘発される顎筋反射に関する研究

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