サトウキビの刈取機構に関する基礎的研究(農業工学科)
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概要
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サトウキビの収穫, 輸送, 加工などの機械化を図るためには, 形状や物性値を明らかにすることが必要である。本章では, サトウキビNCo 376の形状, 物性を知るためにいくつかの基礎的な実験を行なった。測定結果は次のとおりであった。1.茎稈の含水率は登熟期に入ると低下し始め, 特に梢頭部にその傾向が著しかった。糖度と含水率(たとえば基部)との間には, r=-0.94の相関が認められた。2.貫入抵抗と含水率とは, 生育に伴って含水率が著しく減少する部位では, 高い相関を示している。貫入抵抗は, サトウキビ収穫機のデバイダや送りロールの設計にも有効な情報となる。3.圧縮試験により圧縮弾性率を求めたところ, 表皮の付いた基部で105kgf/cm^2,髄部で73kgf/cm^2,横断面方向に抜いた髄部で22.5kgf/cm^2であった。4.曲げ試験により弾性率を求めたところ, 茎稈上部で3.13×10^3kgf/cm^2,中部で2.25×10^3kgf/cm^2,基部で2.20×10^3kgf/cm^2であった。5.茎稈基部のポアソン比の測定を試みて, 表皮付きで0.344,髄部で0.467を得た。上述の物性値は, サトウキビNCo 376の平均的な値であり, サトウキビの品種はもとより, 生育条件によってかなり変動するが, 一応の指標とみなしうる。以上, 主としてNCo 376の物性値について報告したが, 先にも述べたように沖縄県においては, この品種の栽培が漸増している。また, 最多品種であるNCo 310はこれより軟らかいので, 沖縄県に適した収穫機の設計においては十分に有用であると考える。
- 琉球大学の論文
- 1982-12-01
著者
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