真空中におけるNi,Cu,Auの摩擦と摩耗の一実験
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概要
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10^<-6>mmHg程度の真空中において,Ni,Cu,Auの3種類の純金属により,同種金属同士の摩擦,摩耗の実験を行なった.実験はピン/円板型の試験機を用い,室温,一定荷重のもとで何段階かのすべり速度について行ない,速度特性に重点をおいた.ここで得られたおもな結果は以下のとおりである.(1)Ni,Cuの場合には,摩擦を開始してから数mのあいだ,摩擦係数μは低い値を示しているが,その後急に上昇し,以後すべり距離が増すに伴ってやや減少する傾向を示す.一方,Auの場合には,摩擦開始直後からμは高い値を示し,その後は摩擦が進むにつれてNi,Cuと同様の減少を示した.(2)CuとAuの場合には,摩擦係数は,すべり速度に関係なくほぼ一定であるが,Niについてはすべり速度の大きい領域で摩擦係数は高くなっている.(3)Ni,Cu,Auのいずれにおいても,あるすべり進度まではすべり速度が増すにつれて摩耗量は減少し,その後すべり速度の増加に伴い摩耗量は増大する.この境界となる速度は金属により異なる.この特性はAuについても顕著に見られるので,酸累の化学吸着による潤滑効果では説明できないようである.(4)すべり速度が増すにつれて摩擦面の荒れははげしくなり,発生する摩耗粉の粒子は大粒となってくるが,摩擦面のかたさはすべり速度には無関係である.
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