<論文>圧縮機およびタービン翼材料の内部摩擦と弾性率(V/STOL機用エンジンに関する研究)
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概要
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ジェットエンジン等の軸流圧縮機やタービン翼の振動は,疲労破壊の原因となるため振幅をできるだけ小さくすることが望まれる.このためには構造上の配慮,空力的減衰と並んで材料自体の減衰能も大きな役割をになうものと考えられる.したがって圧縮機やタービン翼材料の選択にあたっては強度特性に加えて内部摩擦,弾性率等の振動に対する特性の知識が必要とされるがこの種の系統的な測定は少なく,設計資料として活用しうるような知識に乏しいため,本報では海外のものも含めた現用の代表的な耐熱合金13種について,約1000 c/s程度の振動のもとで高温の弾性率および内部摩擦を測定した結果を報告する.またコンプレッサ一翼への採用を考慮して二,三のアルミニウム合金の測定結果も加えた.測定結果の大要は次のごとくである.(1) 耐熱鋼では弾性率は温度の上昇とともに単調に減少するのに対し内部摩擦はそれぞれの材質によって異なるある温度から急激に上昇する.室温の10^<-4>〜10^<-5>から1×10^<-3>になる温度は13 Cr鋼で代表されるフェライト系の耐熱鋼では530℃,AM 355で代表されるオーステナイト十マルテンサイト組織のものでは500℃,18-8不誘鋼系のオーステナイト組織のものでは約700℃,スーパーアロイと呼ばれる超耐熱合金では約750℃となる.したがってタービンの作動温度では内部摩擦は10^<-3>程度の値を示し,空力的減衰と同等以上になり,振幅の減少,フラッターの限界速度の向上に材料自体の内部摩擦は大きな役割をになうことになる.(2)アルミニウム合金では室温で内部摩擦は10^<-3>程度で温度の上昇と共に単調に増加し,300℃では10^<-2>程度の著るしく大きな減衰能を示している.
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