<資料>漁村の一例 : 釣漁聚落の場合 : 雑賀崎の住環境と住形式
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概要
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雑賀崎は,小半島の岩石海岸に立地しているため,集落は浜を中心に斜面に沿い,段状形態に発展している。現在は,山頂にまで至る極限的な密集状態を呈している。このような生活環境は独立性の強い,経済的にも格差のない生産形態と関連し,住環境や住生活を形づくる種々の要因となっている。集落構成上,風害から家屋を守らねばならないが,外観には種々の防風策がなされている。又,過密状態にあるので,採光・通風効果を天窓を多く取る事によって補っている。地形的には,敷地の制約が直接,家屋の規模や形態にあらわれている。敷地が狭小であるため,家屋は敷地いっぱいに,多く建てられ,屋外空間を持たない。そのため,窓の外側には「でい」「でー」と呼ばれる手摺がつけられ,物干場として活用されている。戸口も一定した方向性がなく,道路と敷地の関係より決まり,直接二階に設けられる場合もある。家屋の規模は一般に小規模である。又,その形も敷地上,種々の形がとられ,一部が張り出したり,斜めになっていたり,必ずしも整形ではない。住宅の特徴的な家構として,相家があげられる。相家形式の住宅が多くみられる背景には,独立性の高い生産形態や夫婦を主体とする家族構成があると考えられる。形態的には,平面分割と上下分割があり,居住者別には,諸子分割によるものと,売買,貸借によるものがみられる。
- 和歌山信愛女子短期大学の論文
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