<資料>過疎地域の生活環境整備 : 大塔村の場合

概要

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(1)下附団地は交通の便の良い,村の中心地鮎川にあり,かつ南面する傾斜地を切り開いてつくられているので,立地条件,宅地条件共に良好である。しかし,移住者はこの新たな土地,生活環境になじむのに時間を要し,移転後5年を経た現在も,まだまだなじめない部分が残されている。(2)団地内には関連公共施設として,共同集会所,作業場,菜園,広場,遊園地等が設置され地域生活の向上が計られているが,一般に施設の利用率は低い。又,菜園,子供の遊び場,運動場等に対しては,需要が高く,現状に対する不満の声がみられる。その他の施設,設備(防犯,防火,飲料水供給,下水道等)の整備は,地域,住生活の向上へとつながっている。(3)宅地面積は,分譲住宅と公営住宅では異なるが,両者共に狭いとする割合が高い。周囲の環境全体が屋外の生活空間であった移転前の生活を考えると,50坪という分譲住宅の宅地割では屋外生活を充足する事は出来ず,公営住宅の場合は屋外空間だけで無く,部屋数,各空間の広さへとつながり住生活全体の問題となっている。(4)住宅内部の設備の向上は著しく(特に台所,風呂場),生活は全体に便利で,快適になっている。しかし,他方ガス,水道,電気等の現金支出が増え,経済的負担は以前に比べ大きくなっている。(5)生活様式は,台所の床が土間から板間へと変化し,ダイニングキッチン形式が普及し,イス座での食事形態へと大半が移り変わっているが,その他は移転前と同じ床座の形式が主体で,和風生活の尊重がみられる。(6)分譲住宅と公営住宅では,生活条件に大きな違いがみられる。公営住宅は分譲住宅に比べ,宅地の広さ,部屋数,間取等種々の面で,不満とする割合が高い。家族数,家族構成に応じた幅広い対応策が必要である。又,近隣関係においても近接しているがゆえに,問題も多い。

著者

千森督子
和歌山信愛女子短期大学

<資料>過疎地域の生活環境整備 : 大塔村の場合

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