<原著>網膜芽細胞腫(Y79細胞)におけるインテグリンの発現と細胞外基質への接着能
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的:細網芽細胞腫は小児に多発する腫瘍であり,視神経に浸潤し,脳脊髄腔に播種され,死の転帰をたどることが多い.近年,癌の浸潤・転移の臓器特異性には,その癌細胞に発現しているインテグリンのプロフィールが重要と考えられている.今回私たちは,網膜芽細胞腫のcell lineであるY79細胞におけるインテグリン発現と細胞外基質への接着能,また網膜および視神経における細胞外基質の発現を検討し,本腫瘍の浸潤・転移の臓器特異性におけるインテグリンの役割について考察した.方法:各種インテグリン-サブユニットの発現はフローサイトメトリーにて検討した.細胞外基質への接着はAdhesion assayにて,網膜・視神経におけるラミニンの発現については免疫組織化学にて検討した.結果:Y79細胞にはインテグリンのサブユニットであるα3,α4,α6,αvβ5,β1が発現していたが,α1,α2,α5,β3,β4の発現は認めなかった.細胞外基質との接着実験ではラミニンに対し強い接着能を認めた.また,ラミニンは病変部位の網膜や視神経の軟膜に強く発現していた.結語:Y79細胞にはラミニンに対する受容体であるα3β1,α6β1,αvβ5が発現しており,そのことがラミニンに対する強い接着能を示したと思われる.また,網膜芽細胞腫の浸潤好発部位である視神経や網膜にラミニンが存在することより,本腫瘍の浸潤・転移の臓器特異性が説明できる可能性がある.
- 順天堂大学の論文
- 2002-07-10
著者
-
海老原 伸行
順天堂大学医学部眼科
-
中村 眞二
順天堂大学医学部細胞病理
-
末吉 徳芳
順天堂大学医学部細胞病理
-
末吉 徳芳
順天堂大学 大学院医学研究科研究基盤センター細胞病理イメージング研究部門
-
村上 晶
順天堂大学医学部眼科学教室
関連論文
- 4. 不安定プラーク動物モデルの検討(誌上発表,平成18年度順天堂大学大学院医学研究科研究基盤センター細胞病理イメージング研究部門利用者談話会抄録)
- 細胞転写法を用いたマイクロダイセクションによるDNA型判定
- 332 OHIO Chamberでのスギ花粉曝露による季節性アレルギー性結膜炎患者における眼症状発現に関する検討(花粉症,鼻アレルギー3,第58回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 6. 大腸癌の肝転移症例におけるflk-1の発現と腫瘍先進部微小血管密度についての検討(一般講演,平成16年度順天堂大学大学院医学研究科研究基盤センター細胞病理イメージング研究部門利用者談話会抄録)
- PPS-2-243 異時性肺転移を来たした大腸癌におけるflk-1の発現(大腸分子生物3)
- PP-2-364 大腸癌遠隔転移におけるHGF receptor/c-metの発現
- 150 胆汁細胞診における細胞学的異型度と免疫組織学的悪性度
- 前胸壁原発脂肪肉腫の1例 : 第38回日本臨床細胞学会学術集会 : 骨・軟部V
- 220 胃腺腫長期経過観察例におけるp53遺伝子産物の動態および細胞増殖能の検討
- 135.胃腺腫の癌化例におけるp53遺伝子産物の免疫学的検討およびその細胞学的変化 : 消化器III