セル成型苗の低温貯蔵期間および温度がキク,シュッコンカスミソウおよぴカーネーションの移植後の初期生育に及ぼす影響
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概要
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セル成型育苗における貯蔵温度と貯蔵期間がキク、シュッコンカスミソウおよびカーネーションの貯蔵中および移植後の生長に及ばす影響を調査した。それぞれの挿し穂を根域容量12mlのセル成型トレイに挿し、キクでは、挿し芽14日後、シュッコンカスミソウおよびカーネーションでは挿し芽20日後のセル苗を用いて、貯蔵温度を1,10℃,貯蔵期間を0,10,20,30日間とし、暗黒条件下で実験を行った。貯蔵終了後、木箱に移植し、30日後に収穫した。キクでは貯蔵期間が長くなるにつれ、移植30日後の生育の低下がみとめられた。10℃30日間貯蔵より、1℃30日間貯蔵で移植直後のプラストクロンインデックスの増加割合が低下した。シュッコンカスミソウでは、10℃で貯蔵すると貯蔵中に節数、茎長の増加がみられたが、1℃貯蔵ではほとんど変わらなかった。10℃で30日間貯蔵すると下位葉が枯れ、徒長しているのが認められた。1℃30日間貯蔵した苗もわずかに黄緑化した。1℃10℃で30日間貯蔵した苗の移植30日後の生存率はそれぞれ90%および50%であった。カーネーションでは貯蔵期間が長くなると10℃貯蔵で節数、茎長が増加した。1℃20日間および30日間貯蔵すると、移植30日後の側枝数が減少した。キク、カーネーションに比べ、シュッコンカスミソウでは貯蔵温度や貯蔵期間の影響を受けやすかった。キクおよびカーネーションのセル苗の暗黒条件下で貯蔵可能な期間は1,10℃貯蔵とも30日以上であっが、シュッコンカスミソウでは1℃貯蔵で20~30日、10℃貯蔵で20日であった。3種とも1℃で30日間低温貯蔵すると、移植後に生育が停滞し、生育を開始するまでにタイムラグが生じた。Experiments were conducted to determine the effects of cold storage duration and temperature of transplants in cell flat on the initial growth of Dendranthema grandiflora Kitamura, Gypsophila paniculata L. and Dianthus caryophyllus L. Cuttings were grown in 220 cell trays (cell volume 12 ml). The 14 days old transplants of Dendranthema and 20 days old Gypsophila and Dianthus were stored for 0,10,20 and 30 days at 1℃ and 10℃ under dark conditions. After storage the plants were transplanted into wooden containers and harvested 30 days after transplanting. In Dendranthema, the growth during the 30 days after transplant decreased with increasing storage duration. After 30 days from transplant, the increasing rate of plastchlon index of transplants stored for 30 days at 1℃ decreased compared with those stored at 10℃. IN Gypsophila, node number and stem length increased during storage at 10℃, but not at 1℃. When stored for 30 days at 10℃, the lower leaves of transplants were dead and the transplants were excessively elongated. After 30 days from transplant, the survival rate of transplants stored for 30 days at 1℃ and 10℃ was 90% and 50%, respectively. In Dianthus, node nunber and stem length of transplants stored at 10℃ increased with increasing storage duration. After 30 days from transplant, the lateral shoot number of transplants stored for 20 and 30 days at 1℃ decreased. Compared with Dendranthema and Dianthus, the growth after transplanting of Gypsophila was considerrably affected by cold storage duration and temperature. Dendranthema and Dianthus could be stored successfully for 30 days at 1℃ and 10℃ under darkness, and Gypsophila for 20 days at 1℃ and 10℃. In all the species, when stored for 30 days at 1℃, growth after transplanting stopped temporarily and a time lag was observed for several days until the growth was restarted.
- 1998-02-01
著者
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