<原著>直腸癌神経浸潤における細胞外マトリックスの重要性 : 癌間質のテネイシン発現についての免疫組織化学的研究
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概要
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直腸癌の局所再発因子として神経浸潤が重要視され, 神経浸潤についての詳細な研究が必要となっている.本研究では直腸癌について神経線維束と神経周膜が明瞭に染色できるラミニン染色を用いて神経浸潤を判定し, 神経浸潤と局所再発との関係について検討した.次に直腸癌における細胞外マトリックスの役割を, 癌の浸潤・転移を促進すると報告されているテネイシン(Tn)の免疫組織化学染色を用いて検討した.さらに癌細胞の発育・増殖因子であり, またTnをはじめとする細胞外マトリックスの誘導作用を有するtransforming growth factor-β1(TGF-β1)の免疫組織化学染色を行い, Tn発現との関係を検討した.対象は壁深達度がmp以深の上部・下部直腸癌103例である.局所再発は15例(14.6%), 神経浸潤は34例(33.0%)に認められ, 両者間に有意な相関が認められた(p<0.05).Tn陽性は42例(40.8%)であり, 神経浸潤および局所再発との間に有意な相関が認められた(p<0.0001,p<0.05).TGF-β1陽性は58例(56.3%)であり, Tnとの間に有意な相関が認められたが, 局所再発および神経浸潤との間には有意な相関は認められなかった.さらにTn, 壁深達度およびリンパ節転移について多変量解析を行ったところ, Tnは最も強い神経浸潤の危険因子であった.以上の結果から, 直腸癌におけるTn発現はTGF-β1により誘導され, 神経浸潤を促進し局所再発の危険因子になりうることが示唆された.
- 近畿大学の論文
- 2000-06-25
著者
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